http://kanshiyonkoma.mangalog.com/Entry/235/「癸巳五月三日北渡三首 其三」元好問
白骨縦横似乱麻
幾年桑梓変龍沙
只知河朔生霊尽
破屋疎煙却数家
元好問(げんこうもん)(1190−1257)作。
「癸巳五月三日北渡(きし ごがつみっか きたにわたる)三首」より其三。
モンゴル軍(のちに元を建国)に滅ぼされた、金の末期に生きた詩人。
金の滅亡の惨状を詩に残し、滅亡した祖国の史書編纂をし、モンゴルに仕官することはなかったという。
井波律子著『故事成語でたどる楽しい中国史』(岩波ジュニア新書、2004、190-191ページ)によると、のちに清の学者が、元好問の詩をこう評し、それは詩人の皮肉な運命を表現する成句となったという。
「国家の不幸は 詩家の幸い (こっかのふこうは しかのさいわい)
賦して滄桑に到れば 句 便ち工なり (ふして そうそうにいたれば く すなわち たくみなり)」
(国家の不幸は詩人にとっては幸い。世の移り変わりをうたうとき、詩はたちまち巧みになる)
〔清〕趙翼 「題遺山」
身閲興亡浩劫空 両朝文献一衰翁
無官未害餐周粟 有史深愁失楚弓
行殿幽蘭悲夜火 故都喬木泣秋風
国家不幸詩家幸 賦到滄桑句便工