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漢詩四コマ劇場

漢詩(中国古典詩)を四コマ漫画で描いた作品を、200本以上掲載しています。

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「人日立春」羅隠



一二三四五六七
万木生芽是今日
遠天帰雁払雲飛
近水遊魚迸氷出

羅隠(らいん)(833−909)作。
「一二三四五六七」とは、すごいフレーズです。
立春と人日(旧暦の1月7日)が同じ日だった時の作であるもよう。
立春って…旧暦の1月1日だと思いこんでいましたが、違うらしいです…(約30年に一度、重なったりすることもあるらしい)。

※『漢詩を読む 冬の詩100選』(石川忠久著、日本放送出版協会、1996)を参考にいたしました。
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「夏日題悟空上人院」杜荀鶴



三伏閉門披一衲
兼無松竹蔭房廊
安禅不必須山水
滅却心頭火亦涼

杜荀鶴(とじゅんかく)(846−907)作。
「夏日悟空上人の院に題す(かじつ ごくうしょうにんのいんにだいす)」。
心頭を滅却すれば火もまた涼し、のフレーズは、戦国時代、織田信長が甲斐を攻めた時に、禅僧快川が、燃えるお寺の中で、こう言って焼死した話も有名ですね…。

※『漢詩を読む 夏の詩100選』(石川忠久著、日本放送出版協会、1996)を参考にいたしました。

「山亭夏日」高駢



緑樹陰濃夏日長
楼台倒影入池塘
水晶簾動微風起
一架薔薇満院香

高駢(こうべん)(821−887)作。
「山亭の夏日(さんていのかじつ)」。暑い夏の日、ふと、そよ風が起こり、薔薇の香りが広がる…。

※『漢詩を読む 夏の詩100選』(石川忠久著、日本放送出版協会、1996)を参考にいたしました。

「詠白牡丹」韋荘

 

閨中莫妬啼粧婦
陌上須慚傅粉郎
昨夜月明清似水
入門惟覚一庭香

韋荘(いそう)(836−910)作。
「白牡丹を詠ず」。華やかな牡丹の中でも、白い牡丹の美しさをたたえます。後半は、月夜の牡丹の香りを描きます。
「啼粧」は、後漢の孫寿のあみだした化粧法で、目の下だけおしろいを薄く塗り、泣いた後に見せたらしいです。

※『中国名詩集』(松浦友久著、朝日文庫、1992)を参考にしました。

「牡丹」皮日休



落尽残紅始吐芳
佳名喚作百花王
競誇天下無双艶
独占人間第一香

皮日休(ひじつきゅう)(833−883?)作。
牡丹をベタ誉めです。唐代では、牡丹の花が愛されていたそうです。詩には登場しませんが、絵には美人を添えて華やかに描きました。
ちなみに、日本では花びらが平べったく広がる品種が好まれ、中国では盛り上がって咲く品種が好まれたのだとか。
でも、牡丹の香り…。そんなにいい香りかなあ…。むしろ、臭いと感じた記憶があるんですが、品種によって違うのかも…。香りなら、牡丹よりも薔薇の方が好きですね…。もちろん、牡丹と薔薇はどちらも綺麗、ですけど。

※『漢詩を読む 春の詩100選』(石川忠久著、日本放送出版協会、1996)を参考にいたしました。

「題酒家」韋荘



酒緑花紅客愛詩
落花春岸酒家旗
尋思避世為逋客
不酔長醒也是痴

韋荘(いそう)(836?ー910)作。
「酒家に題す(しゅかにだいす)」。酒屋にて。

「偶興」羅陰



逐隊随行二十春
曲江池畔避車塵
如今贏得将衰老
閑看人間得意人

羅陰(らいん)(833−909)作。
役人の試験に落ち続けた過去を振り返る。合格者は、曲江池での皇帝の宴に参加できます。

「対花」于濆



花開蝶満枝
花落蝶還稀
惟有旧巣燕
主人貧亦帰

于濆(うふん)(生没年不詳(861年の進士))作。

「金縷衣」杜秋娘(?)



勧君莫惜金縷衣
勧君須惜少年時
花開堪折直須折
莫待無花空折枝

杜秋娘(としゅうじょう)(生没年不詳)が、よく歌っていたという「金縷の衣(きんるのい)」(彼女が作ったわけではないようです)。
15歳で節度使・李キ(キは、金へんに奇)の妾となるも、807年、李キが反乱を起こして処罰され、彼女は宮中に入って、天子の寵愛を受ける。その後、皇子のお守り役になるが、皇子が罪に落ち、故郷に帰ったという。波乱万丈の人生を送った女性。
女性の「若い私を愛して」という愛の歌にとれますが、「若者よ勉強しろ」という、教訓のようにもとれますね…。

「楽遊原」李商隠



向晩意不適
駆車登古原
夕陽無限好
只是近黄昏

李商隠(りしょういん)(812?−858)作。
夕陽の美しさは、黄昏が近い美しさ。
楽遊原は、長安の東南の郊外にあった行楽地。

「江楼旧感」趙嘏



独上江楼思渺然
月光如水水如天
同来望月人何処
風景依稀似去年

趙嘏(ちょうか)(815?−?)作。
「江楼書感」となっていて、「月光如水水連天 同来翫月人何処」となっているテキストもあるそうです。
風景は変わらないのに、それを見る人は変わる…という詩はいくつか紹介していますが、これもまたせつないですね…。

「江陵愁望有寄」魚玄機



楓葉千枝復万枝
江湖掩映暮帆遅
憶君心似西江水 
日夜東流無歇時

魚玄機(ぎょげんき)(843?−868?)作。
魚玄機は、唐代の女流詩人です。
こちらは、夫が帰るのを待つ女性の想いを歌った詩。

「花下酔」李商隠



尋芳不覚酔流霞
倚樹沈眠日已斜
客散酒醒深夜後
更持紅燭賞残花

李商隠(りしょういん)(812?−858?)作。

「哭花」韓偓



曾愁香結破顔遅
今見妖紅委地時
若是有情争不哭
夜来風雨葬西施

韓偓(かんあく)(844−923)作。

「己亥歳」曹松



沢国江山入戦図
生民何計楽樵蘇
憑君莫話封侯事
一将功成万骨枯

曹松(そうしょう)(830?−901)作。
「一将功成りて万骨枯る」は、すさまじい名フレーズです…。

「隴西行」陳陶



誓掃匈奴不顧身
五千貂錦喪胡塵
可憐無定河辺骨
猶是春閨夢裏人

陳陶(ちんとう)(804?−874?)作。
戦場に散らばった骨は、故郷で若い妻が夢に見ている愛しい夫。

「勧酒」于武陵

 

勧君金屈卮
満酌不須辞
花発多風雨
人生足別離

于武陵(うぶりょう)(810−?)作。
井伏鱒二氏の、見事な名訳を引用させていただきます。
「サヨナラ」ダケガ人生ダ。

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