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漢詩四コマ劇場

漢詩(中国古典詩)を四コマ漫画で描いた作品を、200本以上掲載しています。

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「己亥雑詩 其五」龔自珍



浩蕩離愁白日斜
吟鞭東指即天涯
落紅不是無情物
化作春泥更護花

清の詩人龔自珍(きょう・じちん)(1792−1841)は、中国が激動の時代を迎えるアヘン戦争(1840年)前夜を生きた人物です。
陳舜臣の小説「阿片戦争」にも登場します。
詩人の鋭い感性で時局を見つめ、国を憂いているのに、官僚としては国を動かす立場に出世できない…。
この詩は彼が官界を退いた時の詩です。

下のイラストは、同じ詩を描いた、「御待堂」さまの作品です。

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「餺飥謡」龔自珍





父老一青銭
餺飥如月円
児童両青銭
餺飥大如銭
盤中餺飥貴一銭
天上明月痩一辺
噫市中之餕兮天上月
吾能料汝二物之盈虚兮
二物照我為過客
月語餺飥
円者当欠
餺飥語月
循環無極
大如銭
当復如月円
呼児語若
後五百歳俾飽而元孫

龔自珍(きょうじちん)(1792−1841)作。
月とパンの満ち欠けをユーモラスに歌う。
龔自珍の父や祖父の世代は、大清帝国の全盛期、かの乾隆帝の時代。もしかしたら、「乾隆帝さまのころにはのう、パンがこんなに大きかったんじゃ」という昔話があったのかもしれませんね。

「西郊落花歌」龔自珍






西郊落花天下奇
古来但賦傷春詩
西郊車馬一朝尽
定盦先生沽酒来賞之
先生探春人不覚
先生送春人又嗤
呼朋亦得三四子
出城失色神皆痴
如銭唐潮夜澎湃
如昆易戦晨披靡
如八万四千天女洗瞼羆
斉向此地傾臙脂
奇龍怪鳳愛漂泊
琴高鯉何反欲上天為
玉皇宮中空若洗
三十六界無一青蛾眉
又如先生平生之優患
恍惚怪誕百出難窮期
先生読書尽三藏
最喜維摩巻裏多清詞
又聞浄土落花深四寸
冥目観想尤神馳
西方浄国未可到
下筆綺語何漓漓
安得樹有不尽之花更雨新好者
三百六十五日長是落花時

龔自珍(きょうじちん)(1792−1841)作。
北京の城門を出た西の郊外にある、海棠の木、8、90本。花見客が来なくなった落花の時期に、友人や弟と連れ立ってやってきて酒を飲み、この詩を作った……との作者の前書きがそえられています。
海棠の落花のすばらしさを、幻想的に描く。

「己亥雑詩 其百七十」龔自珍

 

少年哀楽過于人
歌泣無端字字真
既壮周旋雑痴黠
童心来復夢中身

清の龔自珍(きょうじちん)の代表作、「己亥雑詩」三百十五首のうち、其百七十。

「雑詩己卯自春徂夏在京師作得十有四首 其十二」龔自珍



楼閣参差未上燈
菰芦深処有人行
憑君且莫登高望
忽忽中原暮靄生

龔自珍(きょうじちん)(1792−1841)作。
夕もや立ち込める風景を、清王朝の衰退にたとえる…。
華やかなる乾隆帝の御世が過ぎ、かげりが見え始めた時代の空気を、早くも感じ取っていた、龔自珍らしい作品のひとつ。
陶然亭の壁に題す(陶然亭の壁に書く)、という文が添えてあります。
詩の舞台になった建物、陶然亭は北京にあり、現在もその一帯が陶然亭公園として有名なのだそうです。

「美人」龔自珍



美人清妙遺九州
独居雲外之高楼
春来不学空房怨
但折梨花照暮愁

清の龔自珍(きょうじちん)(1792−1841)作。
地上世界で忘れられ、雲の上に独り住む美人…。
「美人」は、すぐれた男性を指す場合も多いようで、この詩も龔自珍自身の不遇と、胸の内の想いを詩に託しているという説もあるのですが、さすがに3・4コマ目を男性の姿では描けないので、暗喩として女性の姿で描きました。
九州は、中国の地を指す言葉です。

「賦憂患」龔自珍



故物人寰少
猶蒙憂患倶
春深恒作伴
宵梦亦先駆
不逐年華改
難同逝水徂
多情誰似汝
未忍托禳巫

つきまとって離れぬ憂愁をユーモラスに歌った詩。
とはいえ、龔自珍、感受性の異常に鋭い人だったそうなので、実際のところは、本人は深刻なはずです…。

「堕一歯戯作」龔自珍



与我相依卅五年
論文説法頼卿宣
感卿報我無常信
瘞向垂垂花樹辺

清の龔自珍(きょうじちん)(1792−1841)作。
抜けた歯を、ユーモラスにうたう。

「己亥雑詩 其百二十五」龔自珍



九州生気恃風雷
万馬斉瘖究可哀
我薦天公重抖擻
不拘一格降人材

龔自珍(きょうじちん)の代表作、「己亥雑詩」三百十五首のうち、名高い其百二十五。1839年、すなわちアヘン戦争の前年の作。
この詩は、道教の玉皇と風神・雷神を祭っている所で、道士に祝詞を作るよう頼まれた、との文がついています。
祖国の危機に対する、祈りが感じられます…。
かの毛沢東が、この詩を読んで、感動したという話も残ります。

「雑詩己卯自春徂夏在京師作得十有四首 其三」龔自珍



情多処処在悲歓
何必滄桑始浩歎
昨過城西曬書地
蠹魚無数訊平安

清の龔自珍(きょうじちん)(1792-1841)作。

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