忍者ブログ

漢詩四コマ劇場

漢詩(中国古典詩)を四コマ漫画で描いた作品を、200本以上掲載しています。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「七夕」李賀

 

別浦今朝暗
羅帷午夜愁
鵲辞穿線月
花入曝衣楼
天上分金鏡
人間望玉鉤
銭塘蘇小小
更値一年秋

李賀(りが)(791−817)作。
七夕を幻想的に歌う。
これは、かなり解説がいりそうです…。以下、岩波書店の中国詩人選集『李賀』を参考にしながら、私見もまじえて、書いてみます。
1コマ目:天の川が暗い…は、牽牛・織姫を隔てる川が薄くなり、二人が出会っている。一方の、薄絹のカーテン…は、ベッドのカーテンで、同じ頃の、どこかの誰かの一人寝の寂しさ…?
2コマ目:穿線月…は、七夕の夜に、月光の下、五色の糸を針に通せたら女性は裁縫がうまくなるという風習があったとのこと。その女たちを照らす月。またカササギは、天の川に橋をかけて織姫と牽牛を会わせる鳥のようです。曝衣楼…は、これまた七夕には、書物や衣類の虫干しの習慣があった、とのこと。それが高楼で行われているので、おそらく綺麗な着物が並んでいる光景。
3コマ目:天上で割れた金の鏡が、下界では、鉤の形をした玉のような月になる…。ここのくだりが素敵です。旧暦の七夕では、月は必ず半月、上弦の月になるそうです。
4コマ目:蘇小小は、5世紀末の有名な妓女。死後も亡霊になり、ずっと恋人を待ち続ける…。一年に一度会える織姫たちとは違って、いつまでたっても恋人に会えません…。ちなみに、旧暦では、7〜9月が秋とのこと。
PR

「貴公子夜闌曲」李賀



裊裊沈水煙
烏啼夜闌景
曲沼芙蓉波
腰囲白玉冷

李賀(りが)(791−817)作。

「南山田中行」 李賀



秋野明
秋風白
塘水漻漻虫嘖嘖
雲根苔蘚山上石
冷紅泣露嬌啼色
荒畦九月稲叉牙
蟄螢低飛隴逕斜
石脈水流泉滴沙
鬼灯如漆照松花

李賀(りが)作。
秋の風景。岩波の詩人選集『李賀』によりますと、松花は、松の花ですが、季節が秋なので、松かさかもしれない、とのことなので、松かさを描きました。
あと、秋に咲く赤い花が思い浮かばなかったので、あくまでもイメージで架空の花を描いてます。

「感諷 五首 其三」李賀

 

南山何其悲
鬼雨灑空草
長安夜半秋
風前幾人老
低迷黄昏径
裊裊青櫟道
月午樹立影
一山唯白曉
漆炬迎新人
幽壙螢擾擾

李賀(りが)作。五首連作の其の三。
他の詩は社会風刺の詩だそうですが、こちらは李賀節炸裂の亡霊風味。

「大堤曲」李賀



妾家住横塘
紅紗満桂香
青雲教綰頭上髻
明月与作耳辺璫
蓮風起
江畔春
大堤上
留北人
郎食鯉魚尾
妾食猩猩脣
莫指襄陽道
緑浦帰帆少
今日菖蒲花
明朝楓樹老

李賀(りが))(790−816)作。
襄陽の東南にあった色街・大堤にて、襄陽から来たお客を引き止める妓女。
李賀の時代の前から作品が作られてきた題材らしいです。
「石菖」は漢名で菖蒲…と、広辞苑に書いてあったので、ラストは「石菖」を描きましたが、ううむ…地味な花だな……。これであってるんでしょうか…。

「夢天」李賀



老兎寒蟾泣天色
雲楼半開壁斜白
玉輪軋露湿団光
鸞珮相逢桂香陌
黄塵清水三山下
更変千年如走馬
遥望斉州九点煙
一泓海水杯中瀉

李賀(りが)(790−816)作。
天の世界を夢見る、幻想的な作品。
前半が月世界の描写、後半が天から見た地上の描写。
これまた色々と解釈が分かれるようで、「老兎寒蟾泣天色」は、はっきりと意味がわかりません…。
「鸞珮相逢桂香陌」は、鸞鳳という空想上の鳥をかたどった装飾を身につけた仙女であるらしく、彼女の会う相手は一体誰なのか…というのも解釈が分かれるようです。ここでは仙女たちとしてますが、男性でもいいかもしれません。
「桂」は、中国では「木犀」を指すそうです。手持ちの漢字字典(『角川 新字源』)では「肉桂」と書いてあったんですが、どうなんでしょう…。

「示弟」李賀



別弟三年後
還家十日余
醁醽今日酒
緗帙去時書
病骨独能在
人間底事無
何須問牛馬
抛擲任梟盧

李賀(791−817)作。
三年前に都に上京し、挫折して帰郷した時の作。

「蘇小小歌」李賀



幽蘭露
如啼眼
無物結同心
煙花不堪翦
草如茵
松如蓋
風為裳
水為珮
油壁車
久相待
冷翠燭
労光彩
西陵下
風雨晦

李賀(791−817)作。
鬼才の代表作。死後も恋人を待ち続ける歌妓・蘇小小…。「蘇小小墓」というタイトルのテキストもあります。
こちらは、解釈・絵とも悩みましたので、いつかまた、描き直すかもしれません。
ウィキペディアにもこちらの作品が載ってますので、ご参考までに…(「李賀」の文字にリンクをつけてます)。

「贈陳商」(一部)李賀



長安有男児
二十心已朽
楞伽堆案前
楚辞繋肘後
人生有窮拙
日暮聊飲酒
祇今道已塞  
何必須白首

李賀(791−817)作。
長い詩の冒頭部分です。「長安に男児有り、二十にして心已に朽ちたり」というのは、夭折した不遇の天才詩人である李賀を語るのによく引用されるフレーズです。

「将進酒」李賀



瑠璃鍾
琥珀濃
小槽酒滴真珠紅
烹龍炮鳳玉脂泣
羅屏繍幕囲香風
吹竜笛
撃鼉鼓
皓歯歌
細腰舞
況是青春日将暮
桃花乱落如紅雨
勧君終日酩酊酔
酒不到劉伶墳上土

野外で開催された宴をうたった、幻想的な詩。
「桃花乱落如紅雨(桃花 乱れ落つること紅雨の如し)」は、名フレーズです…。

「出城寄権璩楊敬之」李賀



草暖雲昏万里春
宮花払面送行人
自言漢剣当飛去
何事還車載病身

都で立身出世をしようとしたが理不尽な理由で科挙に合格できずに挫折し、郷里に帰る李賀……。
漢剣…のくだりは、晋のころ、漢の高祖の名剣が入っていた武器庫が火事になったとき、剣が屋根を破って飛び去った、というエピソードを下敷きに、剣を都で立身出世する己にたとえています。

「莫種樹」李賀

 

園中莫種樹
種樹四時愁
独睡南牀月
今秋似去秋

「雁門太守行」李賀



黒雲圧城城欲摧
甲光向月金鱗開
角声満天秋色裏
塞上臙脂凝夜紫
半巻紅旗臨易水
霜重鼓寒声不起
報君黄金台上意
提携玉龍為君死

「題帰夢」李賀

 

長安風雨夜
書客夢昌谷
怡怡中堂笑
小弟裁澗菉
家門厚重意
望我飽飢腹
労労一寸心
灯花照魚目

「秋来」李賀



桐風驚心壮士苦
衰灯絡緯啼寒素
誰看青簡一編書
不遣花蟲粉空蠹
思牽今夜腸応直
雨冷香魂弔書客
秋墳鬼唱鮑家詩
恨血千年土中碧

夭折した不遇の鬼才・李賀(791−817)の名詩。
「恨血千年土中碧」は、千年の時を経た今でも、鬼気迫るすさまじい表現です。
21世紀まで詩が残っていると、李賀に誰か伝えてほしい。

ブログ内検索