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漢詩四コマ劇場

漢詩(中国古典詩)を四コマ漫画で描いた作品を、200本以上掲載しています。

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「江南逢李亀年」杜甫



岐王宅裏尋常見
崔九堂前幾度聞
正是江南好風景
落花時節又逢君

杜甫(とほ)(712−770)作。
「江南にて李亀年に逢う」。杜甫は、この年の暮れに亡くなるという、晩年の作。玄宗皇帝の華やかな時代、貴族の邸宅で歌っていた、名歌手・李亀年(りきねん)と偶然にも再会する。今や、都は安史の乱で荒れ、老いた杜甫も李亀年も、都から遠い江南の地をさすらう身。
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「江畔独歩尋花 其五」杜甫



黄師前江水東
春光懶困倚微風
桃花一簇開無主
可愛深紅愛浅紅

杜甫(とほ)(712−770)作。
「江畔独り歩して花を尋ぬ(こうはん ひとりほして はなをたずぬ)」より、其の五。
成都の西郊、浣花渓(かんかけい)の川の近くを歩いての作。
深紅を愛すべきか、浅紅を愛すべきか……。決めるのがとても難しい。

※『漢詩を読む 春の詩100選』(石川忠久著、日本放送出版協会、1996)を参考にいたしました。

「可惜」杜甫

 

花飛有底急
老去願春遅
可惜歓娯地
都非少壮時
寛心応是酒
遣興莫過詩
此意陶潜解
吾生後汝期

杜甫(とほ)(712−770)作。
にぎやかな春と、老いたる身の愁い…。

 心を寛(ゆる)くするは応(まさ)に是れ酒なるべく
 興(きょう)を遣(や)るは詩に過ぐるは莫(な)し

……このフレーズ、いいなあ…。
陶潜(とうせん)は、東晋の詩人、陶淵明(とうえんめい)(365−427)。お酒の詩で有名です。時代がいっしょだったら、杜甫と二人で、心くつろぐお酒と詩を楽しんだかも…?

「登高」杜甫



風急天高猿嘯哀
渚清沙白鳥飛廻
無邊落木蕭蕭下
不尽長江滾滾来
万里悲秋常作客
百年多病独登台
艱難苦恨繁霜鬢
潦倒新停濁酒杯

杜甫(とほ)(712−770)作。
「登高」は、陰暦九月九日の重陽の節句に、高いところに登って、頭にはじかみの実をさして、菊の花びらを浮かべたお酒を飲む風習です。
王維も「九月九日憶山東兄弟」の詩で歌っていましたが、家族や友達などと、わいわいと楽しむ節句を、独りで過ごすというのは、なんとも寂しさが増しますね…。

「曲江」杜甫



一片花飛減却春
風飄万点正愁人
且看欲尽花経眼
莫厭傷多酒入脣
江上小堂巣翡翠
苑辺高塚臥麒麟
細推物理須行楽
何用浮名絆此身

杜甫(とほ)の、有名な詩のひとつ。
花とお酒を歌いますが、戦乱の影と愁いが…。
出だしは、文句なしの名フレーズ。

 一片花飛んで春を減却す
 風は万点を飄えして正に人を愁えしむ

ちなみにこの詩は、二首連作の第一首です。
第二首も有名で、こちらのフレーズとか特に好きです。

 酒債尋常行処有
 人生七十古来稀

 酒債 尋常 行く処に有り
 人生 七十 古来稀なり

酒代の借金は当たり前の事で行く所にあって良いが、人生で七十歳まで生きるのは昔からまれなこと。
七十歳を「古稀」というのの元ネタのようです。

「貧交行」杜甫



翻手作雲覆手雨
紛紛軽薄何須数
君不見管鮑貧時交
此道今人棄如土

杜甫(とほ)作。
管仲と鮑叔は、春秋時代の人で、無二の親友同士。彼らのような付き合いを指して、「管鮑の交わり」という言葉もあります。

「江漢」杜甫



江漢思帰客
乾坤一腐儒
片雲天共遠
永夜月同孤
落日心猶壮
秋風病欲蘇
古来存老馬
不必取長途

杜甫(とほ)(712−770)作。
何となく、前向きな詩です。
4コマ目の老馬のくだりは、老馬は自分の故郷への道をよく知っている、というお話によります。

「春夜喜雨」杜甫



好雨知時節
当春乃発生
随風潜入夜
潤物細無声
野径雲倶黒
江船火独明
暁看紅湿処
花重錦官城

杜甫(とほ)(712−770)作。
春の夜の雨をうたう。

「登岳陽楼」杜甫



昔聞洞庭水
今上岳陽楼
呉楚東南坼
乾坤日夜浮
親朋無一字
老病有孤舟
戎馬関山北
憑軒悌泗流

杜甫(とほ)(712−770)作。
内乱で故郷を離れて転々として、名高い洞庭湖を眺める…。
768年作ですから、杜甫が、都へは帰れず、船の中で亡くなる2年前の作ですね。

「復愁」杜甫



万国尚戎馬
故園今若何
昔帰相識少
早已戦場多

杜甫(とほ)(712−770)作。
十二首のうちの、其三。

「春日憶李白」杜甫



白也詩無敵
飄然思不群
清新庾開府
俊逸鮑参軍
渭北春天樹
江東日暮雲
何時一樽酒
重与細論文

杜甫の、李白を想う詩。
漢詩の二大詩人が友人関係にあった…というのは何となく嬉しいですね。
庾信と鮑照は、南北朝時代の詩人です。

「兵車行」(一部)杜甫



君不見青海頭
古来白骨無人收
新鬼煩冤旧鬼哭
天陰雨湿声啾啾

戦乱を歌う杜甫の「兵車行」(長い詩です)より、ラスト部分。
青海(ココノール湖)は、古来、唐と吐蕃(チベット)の戦闘があったところだそうです。
現在でも、問題が起きている場所ですが…一日も早く、チベット問題が平和的に解決することを切に願っています…。

「絶句」杜甫



江碧鳥逾白
山青花欲然
今春看又過
何日是帰年

杜甫(とほ)作。
故郷を離れて、四川省の成都での作。華やかな燃えるような春は、異郷での風景。

「春望」杜甫



国破山河在
城春草木深
感時花濺涙
恨別鳥驚心
烽火連三月
家書抵万金
白頭掻更短
渾欲不勝簪

杜甫(とほ)作。
「春望(しゅんぼう)」。戦乱で荒れた都にも、春がめぐってきた。

「飲中八仙歌」(一部)杜甫



李白一斗詩百篇
長安市上酒家眠 
天子呼来不上船
自称臣是酒中仙

杜甫が有名な酒飲み8人をユーモラスに歌った「飲中八仙歌(いんちゅうはっせんか)」より、詩仙・李白の部分を抜粋。
島根県の地酒「李白」には、こちらの詩が引用されたパッケージがあります。
しかし、皇帝(唐の玄宗皇帝です)での舟遊びのエピソードはすごいですね…。皇帝相手に…。李白の武勇伝ですね…。

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