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漢詩四コマ劇場

漢詩(中国古典詩)を四コマ漫画で描いた作品を、200本以上掲載しています。

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「擬古 其七」陶淵明



日暮天無雲
春風扇微和
佳人美清夜
達曙酣且歌
歌竟長歎息
持此感人多
皎皎雲間月
灼灼葉中華
豈無一時好
不久当如何

陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
「古に擬す(いにしえにぎす)」、全九首の、第七首。
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「読山海経 其十」陶淵明



精衛銜微木
将以塡滄海
刑天舞干戚
猛志固常在
同物既無慮
化去不復悔
徒設在昔心
良晨詎可待

陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
「山海経を読む(せんがいきょうをよむ)」、十三首のうちの其の十。
山海経』は、中国最古の地理書。神や、不思議な生き物の話も入っています。

「責子」陶淵明



白髪被両鬢
肌膚不復実
雖有五男児
総不好紙筆
阿舒已二八
懶惰故無匹
阿宣行志学
而不好文術
雍端年十三
不識六与七
通子垂九齡
但覓梨与栗
天運苟如此
且進杯中物

東晋の陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
「子を責む(こをせむ)」。出来の良くない五人の息子たちをユーモラスにうたう。

「閑情賦」(一部)陶淵明



………………

願在衣而為領
承華首之余芳
悲羅襟之宵離
怨秋夜之未央

願在裳而為帯
束窈窕之繊身
嗟温涼之異気
或脱故而服新

………………

東晋の陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
「閑情の賦(かんじょうのふ)」。作品は、(韻文の一種)です。情欲におぼれるのをいましめる目的の賦…。なんですが…。なんとなく、お酒を飲みながら歌われる歌のような感じですよ…。
長い作品で、女性の美しさをたたえた後、そなたの襟になりたい、帯になりたい、髪では髪油に、眉なら眉墨に…、生糸なら靴に…、昼なら影に、夜なら灯火に…と、いう調子で続き、恋わずらいの想いを述べます。
陶淵明…。こんな艶っぽい作品書いていたのですね…。久しぶりに岩波文庫の『陶淵明全集』を読みまして、衝撃をうけました(笑)。古来評価が分かれる作品だそうです。でも、ユーモアあふれる面白い作品です。

「諸人共游周家墓柏下」陶淵明

 

今日天気佳
清吹与鳴弾
感彼柏下人
安得不為歓
清歌散新声
緑酒開芳顔
未知明日事
余襟良已殫

陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
「諸人と共に周家の墓の柏の下に遊ぶ」。なんと、墓場で宴会です。岩波文庫の『陶淵明全集』によりますと、おそらく晋代では珍しくなかったのでは、とのこと(当時の名士は、自分は死生を超越しているんだと、誇示する行為をしたそうで…)。
死者の墓のそばで、生者が酒宴を開く…。なんとなく、わかりそうな、わからないような、心意気。

「止酒」陶淵明





居止次城邑
逍遥自閑止
坐止高蔭下
歩止篳門裏
好味止園葵
大懽止稚子
平生不止酒
止酒情無喜
暮止不安寝
晨止不能起
日日欲止之
営衛止不理
徒知止不楽
未信止利己
始覚止為善
今朝真止矣
此従一止去
将止扶桑涘
清顏止宿容
奚止千万祀

東晋の陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
「酒を止む(さけをやむ)」。各句に、「止」という字を入れて、色々な使い方をして作った、戯れの詩。遊びで作った詩で、陶淵明が、本当に、酒をやめたわけではない…という説が有力のようです。お酒はやめないですよね、陶淵明なら…。

※『陶淵明全集』(松枝茂夫・和田武司著、岩波文庫、1990)を、大いに参考にさせていただきました。

「移居 其二」陶淵明



春秋多佳日
登高賦新詩
過門更相呼
有酒斟酌之
農務各自帰
閑暇輒相思
相思則披衣
言笑無厭時
此理将不勝
無為忽去茲
衣食当須紀
力耕不吾欺

東晋の陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
「居を移す」、二首連作の其の二。「力耕 吾(われ)を欺かず」は、ちょっと格好いいフレーズです。

「帰園田居 其一」陶淵明





少無適俗韻
性本愛丘山
誤落塵網中
一去十三年
羈鳥恋旧林
池魚思故淵
開荒南野際
守拙帰園田
方宅十余畝
草屋八九間
楡柳蔭後簷
桃李羅堂前
曖曖遠人村
依依墟里煙
狗吠深巷中
鷄鳴桑樹巓
戸庭無塵雜
虚室有餘間
久在樊籠裏
復得返自然

東晋の陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
「園田の居に帰る」、五首連作の其の一。役人生活をやめて、田舎に戻ってきた陶淵明。
高校時代に、NHK漢詩紀行で知りまして、暗記するほど読んだお気に入りの詩です。

「飲酒 其五」陶淵明



結廬在人境
而無車馬喧
問君何能爾
心遠地自偏
採菊東籬下
悠然見南山
山気日夕佳
飛鳥相与還
此中有真意
欲弁已忘言

東晋の陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
全十二首のうちの其の五。

「飲酒 其七」陶淵明



秋菊有佳色
裛露掇其英
汎此忘憂物
遠我遺世情
一觴雖独進
杯尽壷自傾
日入群動息
帰鳥趨林鳴
嘯傲東軒下
聊復得此生

東晋の陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
全十二首のうちの其の七。

「雑詩 其一」陶淵明



人生無根蔕
飄如陌上塵
分散逐風転
此已非常身
落地為兄弟
何必骨肉親
得歓当作楽
斗酒聚比隣
盛年不重来
一日難再晨
及時当勉励
歳月不待人

東晋の陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
全十二首の其の一。
なんとなく、漢代の詩「古詩十九首」の「生年不満百」の、「楽しみを為すは当に時に及ぶべし」のフレーズを思い出します。
ラストの、
 盛年重ねて来らず
 一日再び晨なり難し
 時に及んで当に勉励すべし
 歳月人を待たず
………この部分だけ見ると、「勉強すべし」というフレーズのようですが、全体を通してみると、「一生懸命楽しむべし」という解釈もできる詩のようです。
「斗酒」は、「一斗の酒」という意味と、「たくさんの酒」という意味と、二つあるようです。ここでは、景気よく、たくさんのお酒という解釈にしてみました。

「四時歌」陶淵明



春水満四沢
夏雲多奇峰
秋月揚明暉
冬嶺秀孤松

東晋の陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作(?)。
「四時の歌(しいじのうた)」。陶淵明作かというと、確実にそうだとは言えないようで、東晋の顧愷之(こがいし)の作という説もあります。
春夏秋冬の名シーンを詩にしたもの。なんとなく清少納言の「枕草子」を思い出します。

「帰去来兮辞」(一部)陶淵明



帰去来兮
田園将蕪胡不帰
既自以心爲形役
奚惆悵而独悲
悟已往之不諫
知来者之可追
実迷途其未遠
覚今是而昨非

東晋の陶淵明(陶潜)(とうえんめい(とうせん))(365−427)作。
「帰去来の辞(ききょらいのじ)」という、長い文章の冒頭部分です。
正確には詩ではなくて、辞賦の形をとっているそうです。
役人生活をやめて、故郷の田舎に戻ってきました〜という内容なのですが、開放感がよいですね。

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