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漢詩四コマ劇場

漢詩(中国古典詩)を四コマ漫画で描いた作品を、200本以上掲載しています。

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「涼州詞」王之渙



黄河遠上白雲間
一片孤城万仞山
羌笛何須怨楊柳
春光不度玉門関

王之渙(おうしかん)(696−?)作。
「涼州詞(りょうしゅうし)」、二首の一。辺境の兵士を歌う。
「折楊柳」は、別れの曲です。この兵士も故郷を出るときに、この曲で見送られたのかもしれませんが、春が来て柳が緑にならない辺境の地で、柳の歌など歌う必要はない、という、せいいっぱいの強がりです。
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「宿建徳江」孟浩然



移舟泊煙渚
日暮客愁新
野曠天低樹
江清月近人

孟浩然(もうこうねん)(689−740)作。
「建徳江に宿る(けんとくこうにやどる)」。江南にて、舟の中で、旅の一夜を過ごす。川辺の夜の風景がきれいです。

「長干行」崔顥



君家住何処
妾住在横塘
停船暫借問
或恐是同郷

(さいこう)(704−754)作。
四首連作の第一首。遊女がお客を誘う言葉を詩にしています。

「長楽少年行」崔国輔



遺却珊瑚鞭
白馬驕不行
章台折楊柳
春日路傍情 

崔国輔(さいこくほ)(687?−755?)作。
富裕階級の若者の、路上の恋。

「除夜作」高適



旅館寒灯独不眠
客心何事転凄然
故郷今夜思千里
霜鬢明朝又一年

高適(こうせき)(702?−765)作。
大晦日に、一人寂しく旅館で過ごす。

「照鏡見白髪」張九齢



宿昔青雲志
蹉跎白髪年
誰知明鏡裏
形影自相憐

張九齢(ちょうきゅうれい)(673−740)作。
鏡に照らして白髪を見る、の詩。

「登鸛鵲楼」王之渙



白日依山尽
黄河入海流
欲窮千里目
更上一層楼

王之渙(おうしかん)(696−?)作。
鸛鵲楼(かんじゃくろう)は、現在の山西省永済(えいさい)県にあった高楼だそうです。
昔は高い建物が少なかったので、3階建てでも、上まで登ると、景色がだいぶ違って見えたんでしょうね…。

「春夢」岑参



洞房昨夜春風起
遥憶美人湘江水
枕上片時春夢中
行尽江南数千里

岑参(しんじん)(715−770)作。
はるか江南地方にいる友を夢見る歌。「美人」は、色々解釈があるようですが、ここでは親友を指す、というのが一般的なようです。

「望郷詩」朝衡(阿倍仲麻呂)



翹首望東天
神馳奈良辺
三笠山頂上
想又皓月円

遣唐使として唐に行った、阿倍仲麻呂(698−770)の有名な和歌の、漢詩バージョン。
日本に帰る途中、船が難破して唐に戻り、そのまま唐で一生を過ごしたそうです。

(追記。2022年7月21日。Wikipediaの阿倍仲麻呂を見たところ、この漢詩は阿倍仲麻呂本人の作ではなく、1979年に西安に石碑が立つときに、翻訳されたものだったらしい)

「春思」賈至



紅粉当壚弱柳垂
金花臘酒解酴醿
笙歌日暮能留客
酔殺長安軽薄児

賈至(かし)(718−772)作。
二首連作の、第二首。長安の妓女のあでやかさ。

「別董大」高適



十里黄雲白日曛
北風吹雁雪紛紛
莫愁前路無知己
天下誰人不識君

高適(こうせき)(702?−765)作。
董大(とうだい)は、琴の名人として有名で、わけあって各地を放浪していた董庭蘭(とうていらん)ではないか…という説があるとのこと。
男気を感じる送別の詩です。

「閨怨」王昌齢



閨中少婦不知愁
春日凝粧上翠楼
忽見陌頭楊柳色
悔教夫壻覓封侯

王昌齢(おうしょうれい)(698−755?)作。
夫が出征中で、残された若い妻の愁いを描くのですが、この妻、勝気そうで、「愁いを知らない」…というフレーズから始まるのが、この詩の面白いところです。

「回郷偶書」賀知章



少小離家老大回
郷音無改鬢毛催
児童相見不相識
笑問客従何処来

賀知章(がちしょう)(659−744)作。
二首の一。年をとって、やっと故郷に戻ってきた。自分の中では、まだまだ、故郷の人間のつもりでいたけれども…。ちょっぴりせつないユーモアのある作品。

「涼州詞」王翰



葡萄美酒夜光杯
欲飮琵琶馬上催
酔臥沙場君莫笑
古来征戦幾人回

王翰(おうかん)(687−726)作。
故郷を離れて戦う兵士の宴を描く。

「春暁」孟浩然



春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少

孟浩然(もうこうねん)(689−740)作。
春の日の、朝の眠り。夜に風雨で散った花の紅…。

「芙蓉楼送辛漸」王昌齢



寒雨連江夜入呉
平明送客楚山孤
洛陽親友如相問
一片冰心在玉壷

王昌齢(おうしょうれい)(698−755?)作。
「芙蓉楼(ふようろう)にて辛漸(しんぜん)を送る」。
華やかな洛陽に帰る友を送り出し、左遷された江南の地に残る作者。
「一片の冰心 玉壷に在り」は、せつなくも清らかで美しい、有名なフレーズです。
「寒雨連江夜入呉」は、夜になって呉の地にやってきたのは雨じゃなくて作者たち、という解釈もあるそうですが、作者が江寧(江蘇省南京市)の役人だったころの作としたら、はじめから呉の地にいるんじゃ…というのと、思う存分に送別の宴をしたあとで朝送り出した、というのがしっくりくるので、こちらかなあ…。いろいろと間違っていたらすみません…。

※『中国名詩集』(松浦友久著、朝日文庫、1992)を主に参考にしました。

「酔中作」張説



酔後方知楽
弥勝未酔時
動容皆是舞
出語総成詩

張説(ちょうえつ)(667−730)作。
酒の楽しみを歌う。

※『中国名詩選』(松枝茂夫編、岩波文庫)を大いに参考にしました。

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