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漢詩四コマ劇場

漢詩(中国古典詩)を四コマ漫画で描いた作品を、200本以上掲載しています。

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「雲」杜牧



尽日看雲首不回
無心都道似無才
可憐光彩一片玉
万里青天何処来

杜牧(とぼく)(803−852)作。
万里に広がる青空に、ぽつんと浮かぶ雲を眺める。
無心=無才、とは、ちょっと寂しい物言いですね…。

※『漢詩を読む 夏の詩100選』(石川忠久著、日本放送出版協会、1996)を参考にいたしました。
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「杜秋娘詩」(一部)杜牧



……………

地尽有何物
天外復何之
指何為而捉
足何為而馳
耳何為而聴
目何為而窺
己身不自暁
此外何思惟

……………

杜牧(とぼく)(803−852)作。
長篇「杜秋娘の詩(としゅうじょうの詩)」より、ラスト部分。
杜秋娘という、数奇な運命をたどった女性の生涯を歌い、続いて数奇な運命をたどった歴史上の人物たちのことをあげて、運命を支配する天の意図が人間にはわからないことを言い、このフレーズが続きます。最後に、「ゆえに酒を飲みながらこの詩を書いた、悲しみにくれたときに吟詠すれば、わが心を楽しませ慰めることができよう」、と詩はしめくくられます。

※『杜牧詩選』(松浦友久・植木久行編訳、岩波文庫、2004)を、おおいに参考にさせていただきました。
【参考文献『杜牧詩選』(岩波文庫)について】
杜牧の詩は、今まで有名な作品を数編しか知らなかったのですが、132首もの詩が入った詩集が出ていると知り、読んでみました。作品も素晴らしいのですが、解説がとても丁寧です。絵にするさいに、イメージがより浮かびやすかったです。ぜひ、ご一読をオススメします。

「秋夕」杜牧



紅燭秋光冷画屏
軽羅小扇撲流蛍
瑶階夜色涼如水
坐看牽牛織女星

杜牧(とぼく)(803−852)作。
「秋夕(しゅうせき)」。天子に愛されない宮女の夜を歌う。秋の扇は、捨てられた女の例えとして、この詩が出来る以前からある例えです。

※『杜牧詩選』(松浦友久・植木久行編訳、岩波文庫、2004)をおおいに参考にしました。

「寄揚州韓綽判官」杜牧



青山隠隠水迢迢
秋尽江南草木凋
二十四橋明月夜
玉人何処教吹簫

杜牧(とぼく)(803−852)作。
「揚州の韓綽判官(かんしゃくはんがん)に寄す」。
最後の「玉人」は、歌妓を指すか、韓綽判官を指すか、二つの解釈があるようです。いずれにせよ、美女が簫を吹いているシーンですね…。美男子が美女といっしょにいるほうが絵になるので、後者をとってみました。
「簫」は、中国のフエで、尺八のようなタイプと、何本も管がついているパンパイプのタイプがあるようです。どっちだろう…。

「薔薇花」杜牧



朶朶精神葉葉柔
雨晴香払酔人頭
石家錦障依然在
閑倚狂風夜不収

杜牧(とぼく)(803−852)作。
「薔薇花(しょうびか)」。この時代の中国の薔薇がどのようなものなのかはわかりませんが、香りのある品種のようです。
西晋の石崇は、豪華な錦の歩障(歩く時に目隠しにする幕)を作らせたのだそうで、薔薇の咲き誇るさまを、この歩障にたとえてあります。

※『杜牧詩選』(松浦友久・植木久行編訳、岩波文庫、2004)をおおいに参考にしました。

「題禅院」杜牧



觥船一棹百分空
十歳青春不負公
今日鬢糸禅榻畔
茶煙軽颺落花風

杜牧(とぼく)(803−852)作。
「禅院に題す(ぜんいんにだいす)」。杜牧晩年の作。糖尿病で、お酒が飲めなくなり、お茶を飲む。でも、「十歳の青春 公に負かず」は、胸をはって言っているようで、格好いいなあ…(「公」の字は何を指すかは、色々な解釈があるようです)。

「雨」杜牧



連雲接塞添迢逓
灑幕侵灯送寂寥
一夜不眠孤客耳
主人窓外有芭蕉

杜牧(とぼく)(803−852)作。
芭蕉の、夜雨が葉にあたる音は、寂しい音として詩の題材にされるそうです。南の植物なので、辺境といっても南の方でしょうか…?

※『杜牧詩選』(松浦友久・植木久行編訳、岩波文庫、2004)を参考にさせていただきました。

「紫薇花」杜牧



暁迎秋露一枝新
不占園中最上春
桃李無言又何在
向風偏笑艶陽人

杜牧(とぼく)(803−852)作。
「紫薇花(しびか)」。秋に咲く、百日紅(さるすべり)をうたう。百日紅は、花の咲く時期が長く、次から次へと花が咲きます。

※『杜牧詩選』(松浦友久・植木久行編訳、岩波文庫、2004)を、おおいに参考にさせていただきました。

「過華清宮絶句 其一」杜牧



長安廻望繍成堆
山頂千門次第開
一騎紅塵妃子笑
無人知是茘枝来

杜牧(とぼく)(803−852)作。
「華清宮に過る 絶句(かせいきゅうによぎる ぜっく)」、三首より、其の一。
南の果物、ライチーは楊貴妃の好物。早馬で大急ぎで運ばないといけなかったそうです。詩には、ちょっと皮肉もはいっているようです。その微笑みは、傾国の美女の微笑み。

※『杜牧詩選』(松浦友久・植木久行編訳、岩波文庫、2004)を、おおいに参考にさせていただきました。

「漢江」杜牧



溶溶漾漾白鷗飛
緑浄春深好染衣
南去北来人自老
夕陽長送釣船帰

杜牧(とぼく)(803−852)作。
白いカモメ、青い水、紅い夕陽。色彩豊かで、かつ、せつなさもある作品。

※『杜牧詩選』(松浦友久・植木久行編訳、岩波文庫、2004)をおおいに参考にさせていただきました。

「嘆花」杜牧



自恨尋芳到已遅
往年曾見未開時
如今風擺花狼藉
緑葉成陰子満枝

杜牧(とぼく)(803−852)作。
「花を嘆く(はなをなげく)」。この詩は、人妻になってしまった少女を花に例えているのでは…という解釈があるそうです。

※『杜牧詩選』(松浦友久・植木久行編訳、岩波文庫、2004)をおおいに参考にしました。

「山石榴」杜牧



似火山榴映小山
繁中能薄艶中閑
佳人玉釵上
疑焼却翠雲鬟

杜牧(とぼく)(803−852)作。
「山石榴(さんせきりゅう)」。つつじをうたう。

※『杜牧詩選』(松浦友久・植木久行編訳、岩波文庫、2004)を、おおいに参考にさせていただきました。

「金谷園」杜牧



繁華事散逐香塵
流水無情草自春
日暮東風怨啼鳥
落花猶似堕楼人

杜牧(とぼく)(803−852)作。
「金谷園(きんこくえん)」。西晋の石崇の荘園。紀元300年、石崇の愛妾の緑珠を手に入れようとした孫秀が、石崇を罪に陥れようとしたので、緑珠は身を投げて死に、石崇もやがて処刑された…という悲しいエピソードがあるそうです。

※『杜牧詩選』(松浦友久・植木久行編訳、岩波文庫、2004)を、おおいに参考にさせていただきました。

「泊秦淮」杜牧



烟籠寒水月籠沙
夜泊秦淮近酒家
商女不知亡国恨
隔江猶唱後庭花

杜牧(とぼく)(803−852)作。
「秦淮に泊す(しんわいにはくす)」。「後庭歌」は、南北朝時代、隋に滅ぼされた陳の後主の「玉樹後庭歌」のこと。寵愛する妃の美しさを歌った歌で、歌そのものは甘美です。亡国の恨みなどわからない妓女が酒楼で歌う。どこかせつないですね…。

「題烏江亭」杜牧



勝敗兵家事不期
包羞忍恥是男児
江東子弟多才俊
捲土重来未可知

杜牧(とぼく)(803−853)作。
「烏江亭に題す(うこうていに だいす)」。
漢の劉邦と戦った項羽…。垓下(がいか)の地で大敗をした後、長江のほとりの烏江にたどりつき、「川を渡って、根拠地の江東で王になっては」という勧めを断り、壮絶なる死を迎えます…。
もし、あの時、項羽が川を渡っていれば!!という、もしもの詩です。
ちなみに、捲土重来という言葉の出典だそうです。

そして、この詩にツッコミをいれたのが…。
北宋の王安石「烏江亭」。



唐の杜牧と北宋の王安石…、時代を超えた論戦が楽しいですねー。

※『中国名詩集』(松浦友久著・朝日文庫)を、大いに参考にしました。

(2009年12月3日、画像を手直しして差し替えました)

「贈別 其二」杜牧



多情却似総無情
唯覚前笑不成
蝋燭有心還惜別
替人垂涙到天明

杜牧(とぼく)(803−853)作。
二首連作の、第二首。
其一は、花のつぼみのような13、14歳の妓女(若いですね…)の美しさをたたえ、揚州のどの妓楼にも君ほどの美女はいないよ、と歌っています。
つづく其二は、年若い愛妓との別れの酒席。
二人とも、大きな哀しみのために、心がまひしてしまったのか、かえって泣けず、笑えない。蝋燭が変わって涙を流してくれる。

「赤壁」杜牧



折戟沈沙鉄未銷
自将磨洗認前朝
東風不与周郎便
銅雀春深鎖二喬

赤壁の戦い(208)は、呉と蜀が、魏の曹操の水軍を破った戦い。
三国志の最大の見せ場で、三国志ファンにはおなじみでしょうか。
もし、あの戦いで、曹操の船を火攻めにできなかったら…という、歴史の「もし」を描く詩ですが、そこに、呉の名花たる大喬・小喬の姉妹を登場させ、華を添えています。

「江南春」杜牧



千里鶯啼緑映紅
水村山郭酒旗風
南朝四百八十寺
多少楼台煙雨中

杜牧(803−852)の、江南地方の春を歌った名詩。
この詩…スケールが大きくて、天の上から見下ろして、しかもあちこちの風景を見ていますね…。
絵の中に納まりきれないですね…(苦笑)。
中国で一般的にウグイスというと、どういう鳥なんでしょう…?
絵では、コウライウグイスの絵を描いてますが、日本の一般的なウグイスと全然違って、はるかに黄色い…。

「清明」杜牧



清明時節雨紛紛
路上行人欲断魂
借問酒家何処有
牧童遙指杏花村

杜牧(とぼく)(803−853)作。
美しい春の清明節なのに、憂鬱な雨…。牧童が指さす村は、もしかしたら別世界。

「遣懐」杜牧



落魄江湖載酒行
楚腰繊細掌中軽
十年一覚揚州夢
贏得青楼薄倖名

杜牧(とぼく)(803−853)作。
華やかだった青春時代をほろ苦く回想する。

「山行」杜牧



遠上寒山石径斜
白雲生処有人家
停車坐愛楓林晩
霜葉紅於二月花

杜牧(とぼく)(803−852)作。
秋の紅葉した葉は、春の花よりも紅い…。
色彩のない前半と、紅が鮮やかな後半の対比。
「車」は、絵では馬車を描いていますが、人力車や、人がかつぐ籠のようなもの、というご意見も頂きました。その方が山が険しそうですね。

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